騒音測定(3)・・・騒音計のメーカーによる自主検定

騒音測定(2)で述べた通り、計量法16条1項は、「次の各号の一に該当するもの(カッコ内省略)は、取引又は証明における法定計量単位による計量(カッコ内省略)に使用し、又は使用に供するために所持してはならない」として、1号から3号までを掲げています。そのうちの2号の規定は以下の通りです。

「二 次に掲げる特定計量器以外の特定計量器
イ 経済産業大臣、都道府県知事、日本電気計器検定所又は経済産業大臣が指定した者(以下「指定検定機関」という。)が行う検定を受け、これに合格したものとして第72条第1項の検定証印が付されている特定計量器
ロ 経済産業大臣が指定した者が製造した特定計量器であって、第96条第1項(カッコ内省略)の表示が付されているもの」

このうちイは、検定機関が行った検定を受けた騒音計(条文上は「特定計量器」ですが、以下、騒音計に話を絞ります)のことで、通常は一般財団法人日本品質保証機構(同機構は上記の「指定検定機関」です)に検定を依頼します。

これに対してロは、この規定だけを見ても意味がよくわかりませんが、これは、経済産業大臣が指定した騒音計のメーカーが製造した騒音計(承認を受けた型式のものに限ります)については、そのメーカー自身の自主検査に合格すれば、上記の96条1項の表示(基準適合証印と呼ばれます)を付すことができ、その騒音計は、その自主検査の有効期間中は、イの検定機関が行った検定に合格したものと同等に扱われるという制度のことです。その自主検査の有効期間が満了すれば、イの通常の検定を受けて合格する必要があります。

騒音計に関して経済産業大臣により指定されているメーカー(「指定製造事業者」と呼ばれます)は、リオン株式会社と株式会社小野測器の2社です(正確には、この指定は事業所ごとに行われるもので、指定されているのは、株式会社小野測器宇都宮テクニカル&プロダクトセンター及びリオン株式会社です)。このことは、経済産業省のウェブサイトのトップページhttp://www.meti.go.jp→「政策について」→「政策一覧」の「詳しくはこちら」→「経済産業」の「計量行政」→「計量制度の概要」→「特定計量器に関する規制の概要」→「特定計量器を製造する場合」→「指定製造事業者の一覧はこちらをご覧ください」に出ています。なお、2019年8月18日に閲覧したところでは、ここに掲載されている一覧は2018年10月30日現在のものです。

指定製造事業者が行った自主検査に合格した騒音計については、「騒音計基準適合検査済証」が添付されており、これは一般財団法人日本品質保証機構の「騒音計検査済証」と同じ効力を有します。

騒音計のメーカーは多数存在しますが、このように、指定製造事業者はリオン株式会社と株式会社小野測器のみですので、この2社はいわば国からお墨付きを得ているメーカーであり、特に技術力に信頼のおけるメーカーだといってよいと思います。