JIS Z 8731には、測定器(つまり騒音計)についての規定があります。
JIS Z 8731:1999では、4.1として、次の規定がありました。
「測定器としては、…等価騒音レベルを算出できるものを用いる。測定器はJIS C 1505に適合するものを用いることが望ましい。少なくともJIS C 1502に適合するものを用いなければならない。これらの騒音計に代わる測定器を用いる場合にも、周波数重み特性、時間重み特性について同等の性能をもつものでなければならない。」
ところが、ここに述べられているJIS C 1505(「精密騒音計」の規格で、正確にはJIS C 1505:1988)や、JIS C 1502(「普通騒音計」の規格で、正確にはJIS C 1502:1990)は、2005年に廃止され、JIS C 1509-1:2005及びJIS C 1509-2:2005に置き換えられました(JIS C 1509-1:2005のまえがきに明記されています)。
そのため、上記のJIS Z 8731:1999で、JIS C 1505やJIS C 1502を引用している部分は、内容が古くなってしまっていました。実際上は、上記の文章の中のJIS C 1505をJIS C 1509-1:2005に、JIS C 1502をJIS C 1509-2:2005に読み替えて運用されていたものと思いますが、JIS Z 8731:1999の文章からは、JIS C 1505やJIS C 1502がすでに廃止されたことはわかりませんので、誤解を招くもとになっていました。
この点について、JIS Z 8731:2019では、4.2の「測定器」の規定が次のように変わりました。
「騒音計 JIS C 1509-1に規定するサウンドレベルメータ(以下、騒音計という。)を使用する。」
このように、現在有効な規格であるJIS C 1509-1が引用されましたので、上記のような読み替えの必要はなくなり、整理されました。
また、JIS Z 8731:2019の「2 引用規格」には、
「次に掲げる規格は、この規格に引用されることによって、この規格の規定の一部を構成する。これらの引用規格は、その最新版(追補を含む。)を適用する。」
とあって、それに続いて、 「JIS C 1509-1 電気音響ーサウンドレベルメータ(騒音計)-第1部:仕様」
とあります(他にもいくつかのJISが挙げられています)。
上記のJIS C 1509-1:2005は、その後さらに新しいJIS C 1509-1:2017に改正されていますので、JIS Z 8731:2019の規定の一部を構成しているのは、このJIS C 1509-1:2017です。
なお、騒音計の有力なメーカーであるリオン株式会社のウェブサイトを見ると、同社製の騒音計のうちで、JIS C 1509-1:2017に適合する型式は、NA-28、NL-42、NL-52、NL-62、NL-27、NA-83の6種だそうです。従って、JIS Z 8731:2019に従った測定をするためには、リオン製の騒音計を使う場合にはこの6種のうちのどれかを使う必要があります。
当事務所が使用しているのは、NA-28(2台)です。