解決までの大まかな流れ
騒音や振動の測定・記録
まずは、工事現場・工事会社から発生する騒音や振動を測定し、客観的で信用性ある証拠を残すことが重要です。測定については、騒音・低周波音・振動の被害の測定の方法と費用についてをごらんください。
工事現場・工事会社からの騒音や振動は、工事期間中だけ発生するものですので、工事の種類にもよりますが、比較的短期間に終わることが多いです。また、建物の建設工事よりも、その前に行われる古い建物の解体工事のほうが騒音や振動が大きいということもよくあります。そこで、工事が終わる前に騒音や振動の測定をするためには、早期に御相談いただくことが特に重要です。
測定結果が、法令による基準値を上回っていれば、被害がいわゆる受忍限度を超えているという主張がしやすいです。
けれども、受忍限度を超えているかどうかの判断は、騒音や振動などの測定値だけで決まるわけではなく、その事案に関するすべての事情(騒音や振動の発生する時間帯や頻度が重要ですが、騒音や振動そのものに関する事情の他に、現地の環境や、問題の発生以後の両当事者の態度等も考慮されます)が考慮されて判断されます。
また、騒音や振動などの測定値が規制値を超えていなくても、相手方が改善措置をとってくれることも珍しくありません。
従って、測定値が規制値を超えていなかったとしても、必ずしもあきらめる必要はありません。測定結果をご説明する際に、その後の方針について助言し、御相談します。
話し合い
騒音や振動の証拠が確保できたら、次の段階としては、工事の施工会社と話し合って、騒音や振動への対策をしてもらい、被害をなくすか、あるいは少なくとも減らすようにしてもらうことです。
ただし、既に依頼者ご本人が経営者と交渉していて、交渉での解決は困難であると考えられる場合には、ご本人と協議した上で、交渉を省いて直ちに次の公的手続をとる場合もあります。
公的手続
話し合いで解決できなければ、公的手続をとるしかありません。公的手続の種類やそれらのメリット・デメリットについては、騒音・振動・低周波音・悪臭トラブルのさまざまな解決方法をご覧ください。
ただし、工事の騒音や振動の場合には、被害が比較的短時間に終わってしまいますので、手続が迅速に行われる裁判所の仮処分も有力な選択肢となります。
円満な解決?
一般的な騒音や振動の紛争とは異なり、工事の騒音や振動の場合には、近隣間の紛争ではありませんので、円満な解決をめざす必要は必ずしもありません。
従って、この類型の紛争については、「円満解決のために弁護士に依頼することが望ましい」ということはないのですが、やはり、弁護士に依頼することをお勧めします。その理由は、弁護士に相談するメリットをご覧ください。
弁護士に相談するメリット
騒音や振動の証拠化(測定・記録)
騒音や振動の測定による証拠化は、被害者ご本人にはもちろん、地方公共団体の公害苦情相談担当者や、専門業者でも困難です。その理由については、騒音・低周波音・振動の被害の測定の方法と費用についてをご参照ください
測定は、騒音等の問題を多数手がけ、知識やノウハウを蓄積している当事務所にお任せください。
話し合い
相手方(工事の施工会社)と話し合いをする場合でも、弁護士に依頼するメリットは大きいです。本人同士での話し合いでは、生の感情がぶつかり合い、かえって話がこじれ、解決が難しくなってしまうことが珍しくありません。
そこで、冷静に物事を見ることができる第三者であり、かつ紛争解決の専門家である弁護士が代理人として話し合うことによって、話がこじれることなく円満な話し合い解決をすることが容易になります。
公的手続
話し合いで解決できず、公的手続に移行せざるを得ない場合にも、弁護士に依頼するメリットは大きなものがあります。
まず、騒音・低周波音・振動・悪臭の解決方法で述べた通り、公的手続の選択肢は複数ありますので、どの手続をとるべきかを決めなければなりません。
次に、手続が決まったとして、それぞれの機関に提出すべき書面(申請書・申立書や書証)を作成しなければなりませんし、手続の開始後も多数の書面(準備書面、主張書面、書証等)を提出する必要があります。さらに、期日に毎回出席して、裁定委員・調停委員等の人から発せられる質問等に対して、的確な回答や説明、意見の表明等をしなければなりません。
専門家でない被害者ご本人がこのようなことを行うのは至難のことですが、経験豊富な弁護士に御依頼いただければ、各手続の利害得失を御説明して、どの手続をとるかを決めるためのアドバイスをしますし、書面の作成や期日への出席はもちろん弁護士が行います(期日には御本人も出席できますし、弁護士のほうから出席をお願いすることもあります)。
損害賠償請求をしたい場合
工事の騒音や振動については、比較的短期間で終了しますので、騒音や振動を軽減してもらうための話合いをしているうちに工事が終わってしまうということもあります。
このため、一般的な騒音・振動の紛争に比べて、損害賠償請求の重要性が大きいと言えます。
損害賠償請求は、騒音などの被害をなくす(あるいは減らす)こととは異なった考慮をしなければならない問題です。何を損害として請求するのか(慰謝料すなわち精神的損害についての賠償か、医療費や薬代、あるいは引っ越し費用等の実費か)、どのような局面か(話し合いなのか、公的手続か)等によっても異なります。
従って、個々の事案の事情に応じた検討が必要ですので、損害賠償請求をしたいとお考えの方は、早期に当事務所に御相談いただくことをお勧めします。