自治体等の公共機関に相談する前に

自治体等の公共機関に相談する前に各地方公共団体(都道府県ではなく区市町村)は、「環境保全課」「公害対策課」といった名称の(名称は他にもいろいろあります)、騒音・低周波音・振動・悪臭等の公害問題についての苦情を受け付ける窓口を有しており、騒音・低周波音・振動・悪臭トラブルの相談先としては、まずこれらの窓口があげられます。

けれども、これらの窓口によってトラブルが解決できるかというと、以下のような理由で、必ずしもそれは期待できないことも多いです。

 

そもそも関与してくれるか?

これらの窓口は、そもそも近隣間の紛争には関与してくれないことが多いです。

その理由として、「事業者ではなく、個人対個人の紛争については関与できない」という担当者もあります。しかし、騒音等を出しているのが事業者であっても関与してくれない担当者(あるいは部署)もあります。他方、個人対個人の紛争であっても、注意をしてくれたり、騒音測定をしてくれたりする担当者もいます。

このように、地方公共団体によって対応はまちまちですので、一度は相談してみることは無駄ではありませんが、あまり期待しすぎないほうがいいでしょう。

 

測定

騒音・低周波音・振動・悪臭トラブルでは、騒音等を測定して、被害を客観的に把握し、証拠化することが重要です。

しかし、地方公共団体の公害苦情相談担当者は、自ら測定をしてくれることはあまりなく、せいぜい騒音計を貸してくれるだけです。

素人である被害者が、借りた騒音計で、騒音について信用性のある測定結果を残すことは困難です(不可能といってもいいでしょう)。

ときには、担当者自らが騒音計を持参して、現場で測定してくれることもなくはありませんが、担当者も役所の人事ローテーションでたまたま公害苦情相談の担当部署に配属されただけの人であり、専門家ではありませんので、被害者に比べて特に信用性のある測定ができるわけではありません。

その上、地方公共団体が備えている騒音計は、検定合格証がないか、あっても有効期間が過ぎていることが珍しくありません。計量法により、証明のために騒音等の測定をするときには、検定に合格しており、かつ検定の有効期間が過ぎていない騒音計を使用することが義務づけられていますので、検定合格証がない、あるいは検定の有効期間を過ぎている騒音計による測定は意味がありません。

 

担当者による注意

騒音測定の結果、法律や条例により定められた騒音等の規制基準を上回っていることが判明した場合には、法律上は、市町村長は、その規制基準を守るように改善勧告あるいは改善命令を出すことができますが、市町村長が改善命令まで出してくれることはあまりありません。それ以外の場合には、市町村には、改善勧告や改善命令を出す権限がそもそもありません。

従って、地方公共団体の担当者が騒音等の発生源側に対して働きかけてくれたとしても(そもそもそのようなことがあまりないことは、上に述べた通りです)、せいぜい、「騒音について苦情が出ていますので、配慮してください」と言ってくれる程度です。相手がそれを聞いて注意してくれるようになればいいのですが、注意してくれなければ解決にはなりません。

以上の通りですので、地方公共団体の公害苦情相談窓口に相談することは意味がないことではありませんし、相談したことによるデメリットというものはありませんが、相談しても解決できなければ、早期に見切りをつけて、当事務所の弁護士に御相談になることをお勧めします。

たまに、騒音等の発生源ではなく、地方公共団体の担当者を相手に喧嘩を始めてしまう人がいますが、これは本末転倒でしょう。

 

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