騒音・低周波音・振動・悪臭トラブルのさまざまな解決方法

騒音・低周波音・振動・悪臭に関するトラブルのさまざまな解決方法について御説明します。解決とは具体的には、騒音などをなくしたり減らしたりしてもらうこと(対策)と、損害賠償をしてもらうことの2つです。

 

話し合い(交渉)

騒音・低周波音・振動・悪臭トラブルのさまざまな解決方法話し合いによって、対策または損害賠償請求をしてもらうことができれば、費用や時間の点で最も望ましいといえます。

しかし、中立な第三者が関与しない話し合いであることから、双方が同意し、納得できるような解決を得ることが困難であることも珍しくありません。

なお、同意(対策や損害賠償について)ができたら、その同意の内容を文書化し、双方が署名捺印した合意書を作成することが望ましいです。しかし、相手方が合意書の作成に応じるとは限りません。たとえ合意書が作成できなくても、実際問題として騒音などの被害がなくなり、あるいは減少すれば、それで(不十分ではあれ)目的は達成できたとして終わらせることもあります。

 

公的手続

国の公害等調整委員会

公害等調整委員会は、総務省の外局として設置されている国の機関で、霞が関にあります。

近隣間の紛争において利用できる公害等調整委員会の手続としては、責任裁定(公害による損害賠償責任の有無及び金額だけを判断します)及び原因裁定(申請人が主張している被害と、騒音等の因果関係の有無だけを判断します)の2種類があります。

従って、いずれの手続でも、音などの発生源側に対策をとることを求めることはできません。

けれども、公害等調整委員会は、審理の結果、調停手続に付すことができ(職権調停)、調停であれば、発生源側に対策をとってもらうという内容の調停を成立させることもできます(調停は話し合いの手続ですので、相手方の同意が条件ですが)。従って、始めから調停での解決をめざして責任裁定や原因裁定を申し立てることが多いです。

公害等調整委員会では、騒音等の専門家が「専門委員」として関与し、手続が行われます。また、職権調査として、騒音等の測定をしてもらえることがよくあります。この場合に、被害者は測定費用を負担する必要はありません(裁判との違いです)。

公害等調整委員会の手続の短所としては、非常に時間がかかることがあげられます。

 

都道府県公害審査会

都道府県公害審査会は、その名のとおり各都道府県におかれている機関ですが、すべての都道府県に存在するわけではありません。都道府県公害審査会がおかれていない都道府県では、調停等の手続が申請される都度、知事によってあらかじめ作成されている公害審査委員候補者の名簿から調停委員等が指名され、それらの調停委員により構成される調停委員会が手続を進めます。

都道府県公害審査会では、話し合いの手続である調停を申請し、騒音等に対する対策をとってもらうこと(場合によっては、それに加えて、あるいはそれに代えて金銭による損害賠償)を相手方に求めます。

なお、公害等調整委員会でも調停の手続はありますが、それは大規模な公害の場合にしか申請できません。これに対して、都道府県公害審査会の調停ではそのような制約はありません。

都道府県公害審査会でも、公害等調整委員会と同様に、騒音等の専門家が調停委員として関与します。ただ、公害等調整委員会に比べて、測定をすることについては消極的のようです。従って、一般的には、既に信用性ある測定結果が存在するか、あるいは客観的な測定結果はそれほど重要でないというような場合でない限り、都道府県公害審査会よりも公害等調整委員会に申請したほうが望ましいといえます。

他方、公害等調整委員会よりも、都道府県公害審査会のほうが、若干は迅速な手続の進行が期待できるようです。

 

弁護士会の機関

各地の弁護士会は、名称はさまざまですが、当事者間の話し合いの手続によって紛争を解決するための機関を有しています。

この手続では、弁護士が話し合いを仲介しますので、騒音等に関する専門家が関与するわけではありません。しかし、手続が柔軟であり、機動性が高いこと、迅速な進行が期待できることといった、公害等調整委員会や都道府県公害審査会にない利点があります。また、法律上の権利として構成することが難しい要望について、当事者間の話し合いの場を設けることができるという特色もあります。

従って、事案の性質によっては、弁護士会の手続が最も適切と考えられる場合もあります。

 

裁判所の手続

騒音・振動・低周波音・悪臭の紛争については、裁判所の裁判や調停は望ましい手続とは言えません。その理由は、裁判所は騒音等について専門的な知識を持っておらず、専門家の関与も期待できないこと、裁判官が現地を見てくれることはあまりないこと(公害等調整委員会や都道府県公害審査会では、一度も現地調査が行われないことはほとんど考えられません)等から、適切な解決がもたらされることは期待できないためです。

ただ、事案の性質や依頼者の御意向によっては、裁判所の裁判を選択する場合もありえます。また、既に裁判になっている事案について御依頼を受けた場合には、当然、裁判手続を受任することになります。

 

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