横田基地訴訟控訴審判決の低周波音に関する判断について

6月6日に東京高等裁判所で言い渡された第2次新横田基地公害訴訟の控訴審判決について、私が特に注目していたのは、横田基地周辺を飛行する米軍機から発生する低周波音に関する判断です。

近年の航空機騒音訴訟(社会的に注目されるものは、すべて自衛隊や米軍の基地に関する訴訟です)では、航空機から発生する騒音の被害とあわせて、低周波音による被害が主張されることがしばしばありますが、判決において、騒音による被害と区別して、低周波音による被害が認められた例は多くありません。

第2次新横田基地公害訴訟でも、低周波音による被害を主張しており、控訴審では、弁護団自ら、原告のうちの3名の方の自宅で低周波音の測定を行い、その測定結果報告書を証拠として提出しました。また、低周波音による物的影響(住居内の家具や建具が振動することです)が現に生じているところをビデオカメラで撮影して、その音声・映像を収めたDVDも提出しました。

少なくとも、低周波音による物的影響については、上記のようなはっきりした証拠があるのですから、控訴審判決が認めてくれるのではないかと考えていました。

けれども、控訴審判決では、低周波音による物的影響についても、身体的影響(睡眠妨害や、圧迫感・振動感といったものです)についても、原告ら(住民ら)がそれらの影響を受ける可能性があることは認定できるが、現に影響を受けていることまでは認定できないと判断されました。従って、判決は、原告らが低周波音の影響を受ける可能性があることを騒音による被害の一要素として考慮するにとどめる、という趣旨を述べました。

もしも、低周波音による(被害の可能性でなく)現実の被害があることが認定されれば、損害賠償の金額が増額されたかもしれませんが、上記のように、現実の被害までは認定されず、損害賠償の金額は1審判決と同じでした。

このように、低周波音に関する判断は、非常に残念な、納得できない内容でした。

航空機からの低周波音による被害が個々の基地訴訟において認定されたかどうかという問題については、いずれ騒音・低周波音・振動・悪臭問題の弁護士ブログで整理して書くつもりです。

 

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