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音響校正器による校正方法(環境省のマニュアル)

2020-09-14

前回は、音響校正器による校正に関して、JIS Z 8731:1999とJIS Z 8731:2019の違いについて書きました。

今回は、現在の規定であるJIS Z 8731:2019に即して、音響校正器による校正の方法について書きます。

前回書いた通り、JIS Z 8731:2019の規定は、以下の通りです。

「音響校正器 マイクロホンを含めて騒音計が正常に動作することを音響的に確認するため、騒音計の取扱説明書(それに類する文書を含む)に記載された形式で、JIS C 1515に規定するクラスⅠ又はクラスLSのものを使用する。

なお、音響校正器は、3年を超えない周期で定期的に校正されているものを使用する。音響校正器の使用時の留意点は、対象とする騒音の種類ごとに、測定マニュアルなどを参照するとよい。」

このように、JIS Z 8731:2019自体は、音響校正器による校正の具体的な方法については何も述べておらず、「測定マニュアルなど」にゆだねています。

まず、音響校正器及び騒音計の取扱説明書の記述を見ますと、私が使用している音響校正器NC-74(リオン㈱製)と精密騒音計NA-28( 同社製)の取扱説明書は、いずれも、音響校正器が発信している音量(94.0 dB)と騒音計の指示値が異なっている場合には、騒音計の機能を使って指示値を合わせる(すなわち、94.0 dBを指すようにする)ように指示されています。

これに対して、前回も引用した「騒音に係る環境基準の評価マニュアル 一般地域編」(平成27年10月、環境省)は、考え方が異なります。このマニュアル13ページには、以下の記述があります。

「騒音計の表示値と取扱説明書に記載されている値との差が±0.7 dB 以上異なっている場合、故障している可能性があるため騒音計の点検修理が必要である。」

「本マニュアルによる測定では、操作ミス防止の観点から、レベル指示値の調整が適切に行われていることを前提として、測定現場において音響校正器を用いて騒音計のレベル指示値の調整は原則として行わない。」

これらの記載によれば、上記の取扱説明書とは異なり、測定現場では、誤差が±0.7 dB  未満であれば、指示値の調整はせずにそのまま測定を行う、他方、誤差が±0.7 dB 以上の場合には、騒音計が故障している可能性があるため、測定は行わず、騒音計の点検修理を行う、ということになります。

上記の「レベル指示値の調整」とは、測定現場ではなく、測定の実施に先がけて、手元や環境が安定した場所において取扱説明書に従って実施される、騒音計の指示値を音響校正器の音量に合致させる行為(前述した、NC-74やNA-28の取扱説明書に記載されている行為)です。平生はこれを実施する一方、測定現場では、誤差が±0.7 dB  未満であることを確認した上で、誤差の調整はせずに測定を実施する(誤差が±0.7 dB  以上であるときは騒音計の点検修理を行う)ということになります。

この方法によると、万一測定現場で誤差が±0.7 dB 以上であった場合には測定を中止しなければならないことになって、大変なことになります。けれども、私の経験では、現場での誤差は最大でも±0.2 dB 程度にとどまっていますので、誤差が±0.7 dB 以上になるようなことはまずないと思います。

JIS Z 8731の改正(3)…騒音計の校正

2020-09-07

JIS Z 8731には、騒音計の校正(検査)に関する定めがあります。この点について、JIS Z 8731:1999と、JIS Z 8731:2019では大きな変更があります。

その違いに触れる前に、そもそも校正とは何かについて説明します。

法律(計量法)上は、騒音の測定結果を証明するための要件は、検定に合格しており、かつ検定の有効期限(5年間)内の騒音計を使用することです(騒音・低周波音・振動・悪臭問題の弁護士ブログ)。

しかし、JIS Z 8731では、測定時に騒音計の検査をすることが求められています。つまり、騒音計が5年に一度の検定に合格さえしていればよいというわけでなく、それに加えて、個々の測定のときにも騒音計の検査をする必要があるわけです。この検査が校正です。

この校正には二通りがあります。一つは音響校正器という機器を使う方法で、騒音計のマイクロホンに音響校正器を取り付け、この音響校正器を作動させると、音響校正器は、あらかじめ定められた音量の音を発信します。その音をマイクロホンが感知して、その音量を騒音計が表示しますので、表示された音量が所定の音量(音響校正器が発信した音量)に一致するかどうかをチェックします。ただし、完全に一致しなければならないわけではなく、ある程度の誤差は許容されます。

もう一つの方法は、音響校正器のような外部機器は使わず、騒音計に内蔵された電気信号発信機能によって電気信号を発信し、騒音計が所定の数値(デシベル)を表示するかどうかをチェックする方法です。この方法は、マイクロホンを介しませんので、マイクロホンの機能の検査はできません。

さて、校正に関するJIS Z 8731:1999(改正前)の規定は、以下の通りです。

「校正 すべての測定器は校正を行う必要がある。その方法は、測定器の製造業者が指定した方法による。測定器の使用者は、少なくとも一連の測定の前後に現場で検査を行わなければならない。その場合、マイクロホンを含めた音響的な検査を行うことが望ましい。」

次に、JIS Z 8731:2019(改正後)の規定は、以下の通りです。

「音響校正器 マイクロホンを含めて騒音計が正常に動作することを音響的に確認するため、騒音計の取扱説明書(それに類する文書を含む)に記載された形式で、JIS C 1515に規定するクラスⅠ又はクラスLSのものを使用する。

なお、音響校正器は、3年を超えない周期で定期的に校正されているものを使用する。音響校正器の使用時の留意点は、対象とする騒音の種類ごとに、測定マニュアルなどを参照するとよい。」

これらの規定を比較すると、次のことが言えます。

1)音響校正器の使用の義務化

前述した通り、校正には、音響校正器を使用する方法(マイクロホンの機能の検査が含まれる)と、音響校正器を使用しない方法(マイクロホンの機能の検査は含まれない)との2種類があります。

JIS Z 8731:1999では、マイクロホンを含めた音響的な検査を行うことが「望ましい」とされていて、この方法を必ず行わなければならないとまでは書いてありません。これに対して、JIS Z 8731:2019は、マイクロホンを含めた音響的な検査(音響校正器を使った検査)を行わなければならないという趣旨に読めます。

2)音響校正器の性能の指定

JIS Z 8731:1999は、音響校正器の性能については触れていませんが、JIS Z 8731:2019では、JIS C 1515に規定するクラスⅠ又はクラスLSのものを使用するという指定がされています。

なお、当事務所の使用している音響校正器は、リオン㈱製のNC74で、この音響校正器は上記の要件を満たしています。

3)音響校正器の校正

JIS Z 8731:1999には、音響校正器の校正のことは述べられていませんが、JIS Z 8731:2019では、3年を超えない周期で定期的に校正されているものであることが要求されています。なお、これと同じことが、環境省の「騒音に係る環境基準の評価マニュアル 一般地域編」(平成27年10月)の8頁にも記載されています。

4)校正は測定の前後に行うか、あるいは測定前のみか

JIS Z 8731:1999では、校正(調査)は一連の測定の前後に行わなければならないと述べられていましたが、JIS Z 8731:2019では、測定の前後とは述べられていませんので、測定の前だけに行えば足りるものと思われます。

JIS Z 8731:1999とJIS Z 8731:2019の校正に関する規定の相違は、以上4点です。これらのうち、1)~3)は校正に関する義務を強化する方向の改正であるのに対して、4)だけは緩和する方向だと思われます。

 

 

 

JIS Z 8731の改正(2)…騒音計の規格との関係

2020-08-23

JIS Z 8731には、測定器(つまり騒音計)についての規定があります。

JIS Z 8731:1999では、4.1として、次の規定がありました。

「測定器としては、…等価騒音レベルを算出できるものを用いる。測定器はJIS C 1505に適合するものを用いることが望ましい。少なくともJIS C 1502に適合するものを用いなければならない。これらの騒音計に代わる測定器を用いる場合にも、周波数重み特性、時間重み特性について同等の性能をもつものでなければならない。」

ところが、ここに述べられているJIS C 1505(「精密騒音計」の規格で、正確にはJIS C 1505:1988)や、JIS C 1502(「普通騒音計」の規格で、正確にはJIS C 1502:1990)は、2005年に廃止され、JIS C 1509-1:2005及びJIS C 1509-2:2005に置き換えられました(JIS C 1509-1:2005のまえがきに明記されています)。

そのため、上記のJIS Z 8731:1999で、JIS C 1505やJIS C 1502を引用している部分は、内容が古くなってしまっていました。実際上は、上記の文章の中のJIS C 1505をJIS C 1509-1:2005に、JIS C 1502をJIS C 1509-2:2005に読み替えて運用されていたものと思いますが、JIS Z 8731:1999の文章からは、JIS C 1505やJIS C 1502がすでに廃止されたことはわかりませんので、誤解を招くもとになっていました。

この点について、JIS Z 8731:2019では、4.2の「測定器」の規定が次のように変わりました。

「騒音計 JIS C 1509-1に規定するサウンドレベルメータ(以下、騒音計という。)を使用する。」

このように、現在有効な規格であるJIS C 1509-1が引用されましたので、上記のような読み替えの必要はなくなり、整理されました。

また、JIS Z 8731:2019の「2 引用規格」には、

「次に掲げる規格は、この規格に引用されることによって、この規格の規定の一部を構成する。これらの引用規格は、その最新版(追補を含む。)を適用する。」

とあって、それに続いて、    「JIS C 1509-1 電気音響ーサウンドレベルメータ(騒音計)-第1部:仕様」

とあります(他にもいくつかのJISが挙げられています)。

上記のJIS C 1509-1:2005は、その後さらに新しいJIS C 1509-1:2017に改正されていますので、JIS Z 8731:2019の規定の一部を構成しているのは、このJIS C 1509-1:2017です。

なお、騒音計の有力なメーカーであるリオン株式会社のウェブサイトを見ると、同社製の騒音計のうちで、JIS C 1509-1:2017に適合する型式は、NA-28、NL-42、NL-52、NL-62、NL-27、NA-83の6種だそうです。従って、JIS Z 8731:2019に従った測定をするためには、リオン製の騒音計を使う場合にはこの6種のうちのどれかを使う必要があります。

当事務所が使用しているのは、NA-28(2台)です。

JIS Z 8731の改正(1)…「騒音」の定義

2020-08-09

JIS Z 8731(環境騒音の表示・測定方法)は、騒音の測定方法について定めた日本産業規格で、騒音を規制する法律や条例では、ほとんどの場合、騒音の測定方法はJIS Z 8731によると定められています。

このJIS Z 8731は、1999年に定められたものが長く用いられてきましたが(JIS Z 8731:1999と表記されます。その一世代前は、1983年に定められたJIS Z 8731:1983でした)、2019年に改正され、現在通用しているものはJIS Z 8731:2019です。

JIS Z 8731:1999とJIS Z 8731:2019を比較すると、かなり重要な変更点があります。これから、それらを数回にわたって御紹介します。今回は「騒音」の定義についてです。

JIS Z 8731:2019では、「1 適用範囲」のところに、「・・・環境騒音とは、一般の居住環境における騒音(望ましくない音)をいう」という文章があります。このような「環境騒音」や「騒音」の説明は、JIS Z 8731:1999にはありませんでした。

JIS Z 8731:2019の上記の文章は、「環境騒音」及び「騒音」の定義を示したものとみてよいと思います。

「騒音」の定義は法令にはなく、その代わりに公的権威のある騒音の定義として、JIS Z 8106(音響用語)には、「不快な又は望ましくない音、その他の妨害。」という定義が載っています。私はこの定義を「騒音・低周波音・振動の紛争解決ガイドブック」で引用しました(57頁)。

けれども、私は、この定義の「その他の妨害」というところが余分だと思い、あまり適切な定義だとは思っていませんでした。この表現だと、音以外のもの(「妨害」)が「騒音」となりうるように読めますが、それは一般常識からかけ離れ過ぎているでしょう。

今回、JIS Z 8731:2019に、騒音とは望ましくない音のことであるという意味の表現が入りましたので、これからは、「JIS Z 8731:2019によれば、騒音とは望ましくない音のことである」と説明すればよいと思います。「望ましくない音」というのは、シンプルでよい定義だと思います。

耳鳴りの治療法

2020-07-26

低周波音の被害を訴える人の中には、実際には低周波音ではなく、その人の耳鳴りが身体的不調の原因である場合があるとされています。このことは、環境省の「低周波音問題対応の手引書」にも明記されています。

では、身体的不調の原因が低周波音ではなく耳鳴りであるとわかった場合、どのような治療法があるのでしょうか。

本年5月13日の朝日新聞に、「耳鳴り、音を流して症状緩和 脳の興奮、意識そらす」という記事が載っています。

この記事によると、耳鳴りの根治に特効薬はなく、耳鳴りそのものの消失や改善を目標に薬物療法を選ぶのは、科学的な根拠がなく、適当ではないとされています(日本聴覚医学会の耳鳴りガイドライン)。

一方、このガイドラインは、耳鳴りに伴う抑うつや不眠を和らげるためなら、抗うつ剤や睡眠薬などについて「一定の効果」が期待できるとしています。

また、耳鳴り再訓練療法(TRT)というものがあります。これは、耳鳴りを緩和する「音響療法」の一つで、耳鳴りを消すのではなく、慣れさせて苦痛を軽減することが目的であり、患者の耳につけた機器から、雑音やオルゴール音などを流し続けるというものです。機器は5万~50万円ほどで、機器をつけながら、医師からカウンセリングも受けます。

この療法によって、耳鳴りのある64歳の患者が夜眠れるようになり、仕事を中断することも減るという効果があった例も紹介されています。

 

「悪臭」という感覚は後天性である

2020-07-20

新村芳人著「嗅覚はどう進化してきたか」(岩波書店・岩波科学ライブラリー)の66ページ以下に、次のような興味深い話が載っています。

味覚について、人がある味を好ましいと思うかどうかの反応は、後天的に学習するのではなく、遺伝的にプログラムされたものであるとされています。

また、嗅覚についても、マウスについては、後天的なものではない先天的な悪臭(いわば「絶対的な悪臭」)が存在することが実験により確かめられています。

しかし、人間の場合には、このような絶対的な悪臭は存在しないというのが多くの研究者の考えです。

このことを示す実験として、2つのビデオ上映ボックスにそれぞれバラの香りと糞便の臭い(スカトール)を充満させ、幼児にそれぞれのボックスで同じ内容のビデオを見せたあと、どちらのボックスでもう一度ビデオを見たいと思うかを選んでもらうと、結果は半々であり、どちらのボックスをより好むという傾向は見られなかった(他方、母親に同じ実験をすると、9割近くの人は糞便の臭いのボックスをより不快に感じた)ということです。

糞便の臭いは、トイレという汚くて避けるべき場所といつも一緒に現れるため、脳が糞便の臭いを避けるべきものと感じるようになり、そのために人は糞便の臭いを不快に感じるようになる、ということだそうです。このことは「連合学習」と呼ばれます。「連合」とは、2種の刺激の組み合わせを意味します。

もしも私が「解説悪臭防止法」の執筆中にこの本を読んでいたら、当然この話を紹介していたでしょうが、この本は「解説悪臭防止法」の出版の翌年の2018年に出た本です。

音楽フェスティバルの騒音が水中の魚のストレスを高める

2020-07-12

科学情報メディア「ナゾロジー」https://nazology.net/に、7月8日付で、「音楽フェスの騒音が「魚のストレスを急激に高める」と判明! 水中の騒音が魚の聴覚を狂わせる(アメリカ)」という記事が掲載されています。

この記事によれば、フロリダ州マイアミで毎年行われるエレクトロニック・ダンス・ミュージックの祭典「Ultra Music Festival」による騒音の水中の魚への影響について、このフェスティバルの会場に近いマイアミ大学ローゼンティール・スクールの研究によると、ラボ内で飼っているアンコウ類の血中のコルチゾール値が、昨年3月のフェスティバルの開催中は、開催前の4~5倍に跳ね上がったということです。コルチゾールはストレスによって分泌が促進されるホルモン物質であり、この分泌量が多いと血圧や血糖を高め、不妊や免疫レベルの低下を引き起こします。

また、フェスティバル開催中の水中の騒音の変化を調べたところ、ラボ内の水槽で7~9デシベル、近郊の水域では2~3デシベルの上昇が確認されており、これは魚の生態にネガティブな変化を与えるに十分な数値の変化であるとされています。

騒音が水中生物に与える悪影響については以前にも取り上げたことがありますが(「水中の騒音がムール貝の成長を阻害するおそれ(イギリス」)、今回のナゾロジーの記事には、「これまでの研究でも、水中の騒音は、魚の聴覚を狂わせ行動異常を引き起こし、生殖や産卵を混乱させることが証明されていました」という文章があります。

 

 

JISは「日本産業規格」

2020-07-05

騒音や振動については、JISに注意を払う必要があります。騒音の測定方法はJIS Z 8731に、振動の測定方法はJIS Z 8735に規定されており、法令では、騒音や振動の測定はこれらに従って行うことになっていますし、騒音計や振動計の規格等を定めるJISもいろいろあります。

このJISは、長らく「日本工業規格」と呼ばれてきましたが、2018年の改正で、「日本産業規格」という名称に変わりました。JISの根拠法も「工業標準化法」から「産業標準化法」に変わりました。

経済産業省の公式サイトの説明によると、この改正の主要点は、①データ、サービス等への標準化の対象拡大、②JISの制定等の迅速化、③JISマークによる企業間取引の信頼性確保、④官民の国際標準化活動の促進を図る、の諸点だそうです。

英語名称(Japanese Industrial Standards)や、JISという略称は変わりません。また、工業標準化法に基づいて制定されたJISは、産業標準化法に基づくJISとみなされます。

この法改正は2018年に成立し、同年5月30日に公布され、施行は2019年7月1日です。

JISと言えば日本工業規格、というイメージが長年固定されていますので、つい今でもJISというと「日本工業規格」と言ってしまいそうですが、これからは「日本産業規格」と言わないと、恥ずかしい思いをします。

羽田空港の新飛行ルート、取り消しを求めて提訴

2020-06-27

羽田空港の新飛行ルートの実施を決めた国の決定は、周辺住民を騒音や落下物、排ガスによる危険にさらすもので違法であるとして、6月12日に、新ルート周辺住民29名が決定の取り消しを求める行政訴訟を東京地裁に提起しました(6月13日付朝日新聞朝刊)。

新飛行ルートについては、3月27日付の日経ビジネス電子版に、「羽田は世界でいちばん危険な空港になる」というタイトルの、元日本航空機長で航空評論家の杉江弘氏のインタビューが載っています。なぜ世界で一番危険かというと、降下角(最終的な着陸態勢に入る最終進入地点と滑走路上の着陸地点を結んだ角)が、現行の3.0度から3.45度へと急になり(世界標準は3.0度)、パイロットにとってはまるで地面に突っ込んでいくような感覚になるからだそうです。

その他にも、このインタビューには背筋が寒くなるような話がいろいろ載っています。

新飛行ルートについては、騒音被害の問題以外にも、問題点が山積みのようです。

保育所の騒音被害に対する訴えが退けられる

2020-06-20

6月18日に、東京地裁は、東京都練馬区の住民が近隣の保育所からの騒音について差止めや損害賠償を求めた訴訟について、訴えを棄却する判決を言い渡しました(6月19日付朝日新聞朝刊)。

騒音被害を訴える訴訟では、原告(つまり被害者側)が勝訴した事例がマスメディアで報道されることはこれまでしばしばありましたが、原告が敗訴した裁判が報道されるのは珍しいと思います。

この裁判で気になるのは、東京都の環境確保条例との関係です。環境確保条例の定める騒音の規制基準は、騒音の種類や発生源を問わずに適用されるのが原則ですが、2015年の改正により、保育園や幼稚園等からの子供の声などには規制基準が適用されないことになりました。

これは、保育園や幼稚園等の騒音については規制を緩和するという姿勢の現れと思われます。このような東京都の姿勢が、裁判所の判断に影響を及ぼすのかどうかが気になります。

また、騒音紛争において、受忍限度の判断はさまざまな事情を総合的に考慮してなされるものですが、実際問題としては、その音量が法令上の規制基準値を超えているかどうかが重要視されます。上記のように、保育園や幼稚園等の騒音には環境確保条例の規制基準値が適用されないと明記されている中で、裁判所が保育園や幼稚園等の騒音の受忍限度の判断に際し、この規制基準値を考慮するのかどうかも注目されます。

報道の一部には、今回の判決が受忍限度の判断に際して環境確保条例の規制基準値を考慮したと述べたものもあります。

今回の判決が、判例雑誌や判例データベース、あるいは裁判所の公式サイトの判例紹介に掲載されることを期待したいと思います。

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